ライターという仕事と書くこと

2004年に、留学を終えて日本に帰り、私はライターという仕事を始めました。
小さいころから書くのが大好きで、アメリカの大学院では「Screenwriting(脚本)」を専攻。
ですから、書く以外の仕事はあまり考えていませんでした。
前提はフリーランスです。
4,5年後、ジャーナリストビザかアーティストビザを自分でビザを取ってアメリカに戻ると計画していたので、会社員ではその可能性が全くないと考えたのもフリーランスですると決めた理由です。
初めて住む東京。
フリーランスで仕事をするにしてもどうすればいいのかさっぱり分かりませんでした。
とりあえず、インターネットで「ライター募集」と出ているところに片っ端からメールをしました。そこで最初の仕事をゲット。大手占いコンテンツの会社の、占い結果を元にしたストーリーを描くという仕事でした。
単価はとても安かったのですが、大量発注のため3か月間はその仕事1つでOKという感じでした。もうずいぶん前の話ですが、これはまだ配信されているんでしょうか~?
その間、次の仕事を探しました。決まったのは、鉄道会社主催の趣味サークル専属のライター&Webデザイナー。月に3回イベントに参加して週1回Webを更新するというものでした。アクセサリー作ったり、精進料理食べたり、登山したりと、いろんな経験をしました。
その仕事を続けながら、他の仕事も入ってくるようになりました。1度仕事をご一緒したクライアントさんからは、何度も声がかかりました。
その仕事は1年半ぐらい続き、そろそろ次のステップに行きたいな~と思っていた頃、私とその会社の間に入っていた代理店さんが契約をやめることになり、仕事は終わりました。すごくいいタイミングでびっくりしました!
その後からは、とても順調でしたね~。その仕事を辞めたと同時に本執筆の依頼が入り、それ以降、自分の名前が出る出ないに関わらず、書籍執筆の仕事が増えました。
そのころから、
「頼まれたものを書く」→「自分の好きなことを書く」
という感じに、書く内容がシフトして行きました。
それから、数年、ラッキーなことに、私は、好きなことをメインに書き続けて行くことができていました。それは、もちろん「アメリカ」。アメリカ関連の本を出し、ネットでも、雑誌でもアメリカのことを連載していました。
でもその間、だんだん、仕事以外で書くことがなくなってきました。以前はブログを更新したり、Webサイトを作ったりしていたのに、それらの更新が止まってしまいました。仕事以外で書くのがめんどうくさいと感じるようになっていたのです。
「書くこと」は私の仕事で、読者さんが必ず存在します。ですから、「正確な情報をきちんと伝える」。これが最優先です。観光情報がメインでしたので、なおさらそのことに気をつけました。私が考えたことや思ったことは、基本的には書きません。なぜなら、私がそれを書くと、私の意見としてではなく、その媒体の意見や考え方として読者さんに伝わってしまう可能性があるからです。
この段階で、
「好きなことを書く」→「好きなことだけど、プロとして事実だけを書く」
に、書き方がシフトしていたんです。
今思うと、自分がまじめにとらえすぎていただけかもしれませんが……。
今年に入ってから、「書くこと」に行き詰まりを感じ始めました。面白味を感じなくなったというか……。理由は分かりませんでした。何となく、他のプロジェクトもたくさんやっているので、「ライターとしての仕事以外の仕事も増えたからかな」と思っていました。
これはとてもいいことです。何かがリセットされる時、人は次のステップに上がることができます。別の仕事も増えてきて、人生が加速する予感がしました。
レギュラーの「書く」仕事がなくなった10月も、かなり忙しく、かつ楽しく動き回りました。そして、忙しかった時期が終わり、家にいる時間ができ、考える時間ができたのです。
7月~10月は、私たちの旅行会社部門「LA-Pan Adventures」は大盛況でした。毎日旅人達と遊び、学び、成長しました。出会ったたくさんの方たちのことを考えていたら、なんだか最近感じたことのない様々な感情が湧いてきました。日本にいた頃、というか高校生とか大学生の時に持っていた感情のような気がします。良く分かりませんが、アメリカに来て日々が充実しているため感じなった感情のような気がします。
なぜか、今日朝起きた時、「人の心が動く時、人は大きく進化するのかもしれないな」と、漠然と思いました。
久しぶりの感情を楽しんでいたら、このことを書きたいなと感じるようになりました。やはり「書くこと」は好きなようです。
そして書いてみたのが、「メキシコとWordressとお金」。
書いているとなんだかとてもとても楽しくなりました。
「なぜ、これを書くのが楽しいと感じたのだろう?」
答えはすぐに分かりました。ただ事実を述べるだけではなく、自分ベースで自分の考えや感じたことを入れて書いたからです。私が書きたかったのは、このスタイルの文章だったのです。
私は、
「好きなことだけど、プロとして事実だけを述べる」→「好きなことを自分の感じたままに述べる」
と、書く内容が変化したんですね。
今後、プロとして、このスタイルで書いていくようになるんだと思います。